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南京事件議論の思い出

探偵ナイトスクープの構成作家の一人であるという百田氏のツイートに反論ブログ記事を書いてちょっと昔の事を懐かしく思い出してみた。

 

僕が集中的にネットで南京事件を議論してたのは多分2年程だと思う。

 

議論を続けるには細かく、より深く調べなければならないことも結構あって、大規模図書館にでも行かないと絶対に得られないような古い資料を漁る手間や、常に手持ちの必要のありそうな書籍の購入など、時間的・費用的なコストがそれなりにかかるので、貧乏暇なしの人間にとってはちょっときつかったのだ。

 

それともう一つ、結局不毛な議論にしか思えなくなったというのも大きい。なんでこんなことしてるんだろう?って。僕はそもそもネットで否定派と戦うつもりもなかったし、きっかけはほんとにたまたまネット掲示板で見かけた、うそっぽい否定論に反応しただけの事だった。それが気が付いたら熱中していただけなのだった。

 

さて、それはそれとして、彼らネット否定論者たちにも様々な主張があったけれど、延々議論していると実際のところ、ネット否定論者も少なくとも数千人程度の殺害行為があったこと自体は否定し得ないということに気付く。いわゆる便衣兵議論である。この議論は概ね以下の二点の争点がある。

 

  • 捕虜とせず殺害したことは違法か否か
  • 民間人を巻き込んだのはどちらの責任か

 

実のところ、議論は結局延々こればっかりだった記憶がある。延々ずっと平行線を辿る。たぶん僕がここで、わずかでも自説を開陳すると、それを見た否定派はその自説に飛びつくに違いない。だから僕はあえて自説は言わないことにする。正直約10年経った今でもあの議論の不毛さには飽き飽きしてる。ただ色々と勉強にはなった。戦時国際法というものがあるなんて知ったのはこうした議論をしたからだ。戦数論*1なんて一般にはほとんど馴染みのない法理論を調べるべく足繁く図書館に通ったのが懐かしい。

 

さて、前回のブクマコメントで「少しは戦争や攻囲戦について勉強しようね」って意見があった。僕も「軍事知識に乏しい」とよく論争相手から批判されたものである。悔しいからそう言われると悔しいから自分で色々調べたりもしていたけども、ネットには僕なんか到底かなわない軍事知識オタクはたくさんいた。南京事件議論に限定すると当時最強だったのはja2047氏である。残念なことに数年前急逝された。

 

ja2047 memorial @wiki - トップページ

 

こんなページが有志によって纏められるほどの有名人というか、多くの人から評価の高い人だった。実は僕もこのページに言葉を寄せているけど、特定されたくないので申し訳ないが誰であるかは言わないで置く。ともあれ、ja2047氏の周到で詳細な議論を拝見させてもらったおかげで、例えば写真には実際のところ完全に捏造と言えるようなものはない、なんて知識も得た。但しこれはja2047氏だけの貢献ではなく、他にも多くの人の貢献もあった。僕はそれまで、捏造写真はあると思い込んでたから目から鱗だった*2

 

肯定派ばっかりすごい人がいたわけではなく、否定派にもすごい人はいた。有名なのはグースっていう人だ。グース氏とネット肯定派で有名なK-K氏の議論は固唾をのんで見守るくらい緊張感があったなぁ。とにかく、お互い南京事件議論解説用の専用サイトを持つくらい知識に長けてた。お互い一歩も譲らず、すっごい詳細なやり取りをされてたと思う。見解は異なれども、ネットの否定派によく見られるようないい加減な議論をしない点だけは尊敬していた。

 

ちなみに実は僕は最初は否定派に近かった。中国共産党なんて信用できないし、でまかせばっかり言ってるってイメージは持ってた。でも自分で少し調べてみると、日本の否定派の言うことには「あれ?」って思うことがどんどん出てきて、否定論に納得できなくなっていった。

 

どっちに賛同するにせよ、自分で調べてみるべきだと思う。百田氏のように安易に使い古されて腐敗臭のするような否定論ばかり使う人は、その真偽について、多分自分で調べたことは一度もないんじゃないだろうか。

 

*1:戦時には戦時国際法上違法な行為でも軍事的に必要があればその違法性が阻却される、という理屈みたいなもの。しかし学者でも結構細かく見解が分かれる

*2:南京事件のものではない写真が南京事件のものであるとして使用されたという意味の捏造写真はある。これを誤用というかどうかは別として