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産経新聞連載「歴史戦第9部 南京攻略戦 兵士たちの証言」について。

なんで今この時期にこの連載をやっているのか、つか産経新聞なんか取ってないしWebサイトもはてなとかのホッテントリーに入ってくるようなものしか読んでないので分からないけども、それにしてもなんか唐突に「南京大虐殺」の記事が出てきた感じがして妙な具合だ。

 


【歴史戦第9部 南京攻略戦 兵士たちの証言(1)】「城内空っぽ。誰もいなかった」「虐殺あるはずない…」(1/7ページ) - 産経ニュース

 

産経新聞が保守的右翼思想媒体であること自体は周知の事実で、日本人のそうした層に読まれることで一定部数を維持しているのだから、まさか「南京大虐殺は本当にあったのだ!」みたいな記事が出ることはあり得ない話ではある。しかし、一面トップでしかもトップ紙面の大半を占めるくらいの勢いで出してきた記事の割には偉く内容が薄いのでがっかりした。ご年配の方をもちろん馬鹿にするつもりはないけど、それにしても98歳とは凄い。だからかなぁ、証言内容も詳細さに欠けあやふやで薄い。

 

「無抵抗の民間人を殺すのが虐殺。だが、人がおらん以上、虐殺があるはずがなか」

「それは激しか戦いでした」

「重砲や野砲で徹底的に敵をたたいて、収まったころ壁にはしごをかけて日本の兵隊がよじのぼって占領していったとです」

「そりゃ、敵と交戦しながら進むけん。こっちもあっちにも遺体はありましたが、女や子供、年寄りの遺体は見たことはなかです」

「哀れですばい。師団長は何もしとらんのに」

「それでも日本の兵隊は強かですばい。弾がどんどん降る中でも前進していく。国のため国民のため突っ込んでいくんですけんね」

「30万人も虐殺したというのはでっち上げですたい。貶(おとし)められるのは我慢ならんです」

 

上記記事から証言だけ引用するとたったこれだけである。他にもインタビュー内容を説明的に書いている部分はあるが、それを含めても、これが南京事件肯定論への反論になるとはとても思えない。

 

確かに、僕も南京事件は無防備の何の罪もない市民を片っ端から殺しまくった事件だとは思ってない。残念ながら一部素行不良な日本軍兵士によって市民が惨殺されたかの如き事件と思えるようなものはいくつか記録に残されているからないわけではなかったろうけど、とてもではないがそうした個々の事件の積み上げで30万人もあったなんてことはないと断言してよかろう。

 

しかし、ここに大きな誤解がある。中国とて市民を30万人殺したとは言っていないのである。以前にも紹介したことのある有名サイト南京事件−日中戦争 小さな資料集 に紹介されている南京軍事裁判判決文から引用しよう。

 

中華門外の花神廟・宝塔橋・石観音・下関の草鮭峡などの箇所を合計すると、捕えられた中国の軍人・民間人で日本軍に機関銃で集団射殺され遺体を焼却、証拠を隠滅されたものは、単燿亭など一九万人余りに達する。このほか個別の虐殺で、遺体を慈善団体が埋葬したものが一五万体余りある。被害者総数は三〇万人以上に達する。 

   南京軍事法廷判決

 

ここにもはっきり「軍人」と書いてあるとおり。残念ながら”元陸軍第6師団歩兵第47連隊の獣医務曹長、城光宣(じょうこうせん)(98)”氏の認識であろう民間人のみ虐殺とは違うのである。

 

僕も30万人はなんぼ何でも多過ぎると思ってる。結構素人なりにいろんな資料を漁ったけど、実相がなかなか見えてこないものの、どんなに過大に積み上げても10万人くらいがせいぜいと違うかな?と思ってる。もちろん真相はさっぱりわからないけども。

 

しかし、多分その大半は捕虜乃至は「便衣兵*1として殺されたのであろう。そして、捕虜や「便衣兵」を殺したことが虐殺といえるのかどうかには議論がある事自体は認めても良い。何れにしても、否定論の代表的な古典論の一つである「当時、南京には20万人しかいなかったのであるから30万人も殺せない」論の如く、間違った前提を上げてそれを否定したって、南京事件と言われているものを否定したことにはならないのは明らかである。

 

ところで、この城氏の所属した陸軍第6師団、熊本兵団であるけども、熊本兵団の兵士によるものと思われる虐殺の記録も以下のページによるといくつかあるようだ。

http://www.geocities.jp/kk_nanking/butaibetu/6D.html

 

どうもなんか、「無抵抗の民間人を殺すのが虐殺」と仰るあたり、内心、捕虜や「便衣兵」などの殺害を知ってる感じもするんですが、邪推かなぁ。

 

なお、続々と続き記事が掲載されてきてるみたいですけど、あれれ?虐殺と思われる証言も出てきてるみたいなんですけど、それはいいのかなー?と思ったり(笑)

 

続きが楽しみです。

 

*1:括弧書きするのは僕はこれを便衣兵とは思ってないからである